行政書士事務所のホームページの作り方|業務の絞り方と料金表
行政書士が扱える手続きは、建設業の許可、在留資格、相続や遺言、農地の転用、飲食店などの営業の許可、法人の設立のための書類など、とても幅があります。そのため、開業したばかりの事務所のホームページは、扱える業務をすべて並べた「何でもできます」という形になりがちです。けれども、依頼する人が知りたいのは「自分の手続きに慣れている事務所かどうか」で、業務の名前が並んでいるだけでは、それが分かりません。
この記事では、行政書士事務所のホームページで扱う業務をどう絞って見せるか、業務ページと料金表をどう書くかをまとめます。あわせて、日本行政書士会連合会(日行連)の「行政書士職務基本規則」(以下、規則)のうち、ホームページに関わる広告宣伝と報酬額の決まりにも触れます。ここで引く規則は、2026年7月15日に施行された版です。広告の表現について個別に迷うときは、所属する行政書士会に確かめてください。
なぜ業務を絞って見せるのか
業務を絞るといっても、ほかの依頼を断るという意味ではありません。ホームページで厚く見せる業務を決めるということです。
| 見せ方 | 依頼する人の受け取り方 |
|---|---|
| 扱える業務を同じ重さで20並べる | どれが得意か分からない。自分の手続きの経験があるか不安が残る |
| 主な業務を2〜3に絞り、残りは短くまとめる | この手続きに慣れている事務所だと分かる。比べる候補に残る |
許認可の手続きは、同じ種類を何度も扱ううちに、書類の集め方や役所とのやり取りの勘所がたまっていきます。依頼する人もそれを知っているので、「建設業の許可を専門に扱っている事務所」と「何でも扱う事務所」なら、前者に相談したくなります。
絞り方の3つの軸
厚く見せる業務は、次の3つの軸で考えると決めやすくなります。
| 軸 | 例 | ホームページでの見せ方 |
|---|---|---|
| 手続きの種類 | 建設業の許可、在留資格、相続と遺言 | 手続きごとに、流れ・必要書類・期間・料金のページを作る |
| 依頼する人 | 建設業の会社、外国人を雇う会社、高齢の個人とその家族 | トップで「誰のための事務所か」を一言で書く |
| 地域 | 事務所のある市と近くの市町村 | 対応する地域と、訪問できる範囲を書く |
開業前の経歴(前職の業界、補助者としての経験)や、地域に多い業種から考えると、無理なく続けられる業務が見えてきます。たとえば、建設業の会社が多い地域で建設業の許可を柱にするなら、許可の新規の申請、更新、業種の追加、決算の変更の届出と、同じ依頼者から続けて頼まれる手続きをまとめて見せられます。
ほかの士業の業務に当たる手続き(登記や税務の申告など)は、自分の業務のように書かず、提携する士業に引き継ぐ形で書きます。
ページの構成
主な業務を絞った事務所のホームページは、次の構成で始められます。
| ページ | 載せること |
|---|---|
| トップ | 誰のための事務所か、主な業務、対応する地域、相談の入口 |
| 主な業務のページ(業務ごと) | 対象になる人、手続きの流れ、必要な書類、期間の目安、料金 |
| そのほかの手続き | 扱う手続きの一覧を短く。相談の入口 |
| 料金 | 報酬額表。報酬と実費の分け方 |
| 事務所の紹介 | 代表の氏名と写真、所属する行政書士会、登録番号、経歴、所在地 |
| 相談の流れ | 問い合わせから面談、見積もり、契約、書類の提出までの流れ |
| よくある質問 | 期間、費用、依頼者が自分で用意するもの |
| 問い合わせ | 電話とフォーム。返事までの日数 |
特定行政書士や申請取次行政書士のように、名簿に職名の併記を受けている場合は、事務所の紹介のページにそのことを書きます。規則の第25条では、職名の併記を受けた行政書士は、法令や日行連の定めによって表示するときは、職名を使用しなければならないとされています。
業務ページの書き方
業務ページは、依頼する人が「自分の場合はどうなるか」を想像できるように書きます。一つの手続きにつき、次の順番でまとめると、抜けが出にくくなります。
- こんな方の手続きです:対象になる人や会社の状況
- 手続きの流れ:相談から許可や届出が終わるまでの段階
- 必要な書類:依頼者が用意するものと、事務所が取り寄せるもの
- 期間の目安:書類がそろってからの日数と、役所の審査にかかる期間を分けて書く
- 料金:報酬と実費。料金のページへのリンク
- よくある質問:その手続きで聞かれやすいこと
許可を出すかどうかは行政の判断です。「必ず許可が取れます」「最短〇日で許可」のように結果を約束する書き方は避け、審査の期間は役所の示す標準の期間などを根拠にして書きます。業務を紹介するページの型はサービス紹介ページの書き方で説明しています。
料金表の載せ方
規則の定め
規則の第24条では、職務に関して受ける報酬額表を、日行連の定める基本様式に準じて作成し、事務所の見やすい場所に掲示することが定められています。さらに、その掲示に加えて、インターネットを利用した方法などで公表するよう努めることとされています。ホームページに料金のページを置くのは、この努力の定めにも沿う形です。
また、規則の第34条では、事件の受任に際して、事件の難易や時間、労力などに照らして適正な報酬を明示し、十分に説明しなければならないこと、不当に廉価な報酬で事件を受任してはならないこと、社会通念上合理的な計算根拠をもって報酬を決定しなければならないことが定められています。
報酬と実費を分ける
行政書士の料金で依頼者がいちばん戸惑うのは、事務所の報酬のほかに、役所に払う手数料や証明書の取得の費用がかかることです。料金表は、報酬と実費を分けて書きます。
| 手続き | 報酬(税込) | 実費の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 〇〇の新規の申請 | 〇〇円 | 申請の手数料、証明書の取得の費用 | 業種の数で変わる場合はその条件 |
| 〇〇の更新 | 〇〇円 | 申請の手数料 | ― |
| 〇〇の変更の届出 | 〇〇円 | 証明書の取得の費用 | ― |
- 報酬が条件で変わる場合(業種の数、相続人の人数、書類の量など)は、その条件を表の近くに書く
- 実費は、役所が定める金額をそのまま依頼者に負担してもらうことを書く
- 個人の依頼者に向けた料金は、消費税を含めた総額で書く(国税庁の説明では、総額表示の義務は、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合が対象で、表示の媒体を問わないとされています)
「〇〇円〜」とだけ書いて安さを見せる書き方は、実際の請求額との差が大きくなりやすく、誤認のもとになります。最も多い条件での金額を示すと、依頼する人が予算を立てやすくなります。
広告宣伝で気をつけること
規則の第17条では、行政書士は、不当な目的を意図したり品位を損なうおそれのある広告宣伝を行ってはならないとされ、その広告宣伝には「ホームページ、SNS等によるものを含む」と書かれています。同じ条では、次の広告宣伝も禁じられています。
- 事実に合致しない内容の広告宣伝
- 誤認または誤導のおそれのある内容の広告宣伝
- 誇大な広告宣伝
ホームページでは、次のような書き方が問題になりやすくなります。
- 「許可率100%」「必ず取れます」のように、結果を約束する
- 扱った件数や経歴を、実際より多く見せる
- 根拠の無い「地域No.1」「最安」
また、規則の第15条では、不正または不当な手段で依頼を誘致するような行為や、紹介の対価を依頼者の報酬に上乗せすることなどが禁じられています。紹介サイトや広告に費用を払って載せる場合も、この点を確かめてから決めます。
問い合わせの入口と、制作会社に伝えること
問い合わせのフォームは、業務ごとに聞く項目を変えると、最初のやり取りが短くなります。たとえば建設業の許可なら、会社か個人か、希望する業種、今の許可の有無を聞き、相続なら、亡くなった方との関係と、急ぐ事情があるかを聞きます。最初から詳しい事情を書かせすぎないようにします。
制作会社に頼むときは、次のことを決めてから相談します。
- 厚く見せる業務(2〜3)と、そのほかに扱う業務の一覧
- 業務ごとの手続きの流れ、必要書類、期間の目安
- 報酬額表(報酬と実費の分け方、税込か税抜か)
- 所属する行政書士会、登録番号、職名の併記の有無
- 公開前に表現を確かめる人(最終の確認は事務所が行う)
事務所のロゴや名刺の考え方は士業事務所のロゴと名刺で、ページの並びの決め方は会社のホームページの構成の例で説明しています。Lapisデザインラボのホームページ制作の内容は、サービスと料金に載せています。
よくある質問
行政書士のホームページで、扱える業務をすべて載せてはいけませんか。
載せること自体に問題はありませんが、業務の名前を並べただけのページでは、依頼する人が「自分の手続きに慣れている事務所か」を判断できません。主に扱う業務を2〜3に絞ってページを厚くし、それ以外は「そのほかの手続き」として短くまとめる形にすると、得意な業務が伝わりやすくなります。
行政書士の料金表は、ホームページに載せる決まりがありますか。
日本行政書士会連合会の行政書士職務基本規則(2026年7月15日施行の版)の第24条では、報酬額表を本会の定める基本様式に準じて作成して事務所の見やすい場所に掲示すること、それに加えてインターネットを利用した方法などで公表するよう努めることが定められています。ホームページへの掲載は努力の定めですが、依頼する人が比べやすくなるため、載せておくのが一般的です。
「許可が必ず取れます」とホームページに書いてもよいですか。
許可を出すかどうかは行政の判断なので、結果を約束する書き方は避けます。行政書士職務基本規則の第17条では、事実に合致しない内容、誤認や誤導のおそれのある内容、誇大な広告宣伝を行ってはならないとされ、広告宣伝にはホームページやSNSによるものも含むとされています。