設計事務所のホームページの作り方|作品の見せ方と写真

/ Lapisデザインラボ

設計事務所のホームページは、作品の写真を大きく並べた作品集の形が多く見られます。美しい写真は事務所の力をよく伝えますが、依頼を考えている人がそれだけで相談を決めるとは限りません。「自分の土地や予算でも頼めるのか」「工務店に直接頼むのと何が違うのか」「設計の料金はどう決まるのか」といった疑問が残るからです。

この記事では、設計事務所のホームページで作品をどう見せるか、作品のほかに何を載せるかをまとめます。作品ページの型、建築写真の撮り方と著作権、作品が少ないときの実績の載せ方、設計監理料の説明、建築士事務所の登録の情報の載せ方まで扱います。施工を自社で行う工務店のホームページについては工務店のホームページで説明しているので、あわせて読むと違いが分かります。

見る人によって確かめたいことが違う

設計事務所のホームページを見るのは、家を建てたい人だけではありません。

見る人確かめたいこと
住宅を建てたい個人好みに合う作品があるか、自分の条件でも頼めるか、料金と期間
店舗や施設のオーナー同じ用途の経験があるか、開業までの段取り
工務店やほかの設計者一緒に仕事をする相手として信頼できるか
働きたい人どんな建物を、どんな体制でつくっているか

作品の写真は、どの人にも最初に見られます。そのうえで、個人の依頼者には「設計の流れ」と「料金の考え方」、協業の相手には「事務所の概要」、働きたい人には「事務所の考え方」と採用の情報、というように、次に読むページを用意しておきます。

載せるページ

ページ載せること
トップ代表的な作品の写真、事務所が大切にしていることを一言で、相談の入口
作品作品ごとのページ。用途や構造で絞り込めるようにする
考え方設計で大切にしていること、主宰者の経歴と言葉
設計の流れ相談、敷地の調査、基本設計、実施設計、工事の見積もりと調整、工事監理、引き渡しまでの段階と期間の目安
料金設計監理料の算定の考え方、目安の幅、支払いの時期
事務所の概要建築士事務所の登録の種類と番号、管理建築士、所在地、所属団体
問い合わせ相談の方法。敷地の有無や希望の時期を聞く欄
採用募集の有無と、働き方

設計の流れのページは、初めて家を建てる人にとってとくに大切です。設計事務所に頼むと、設計者が施主の側に立って工事の見積もりを確かめたり、工事が図面のとおりに進んでいるかを確かめたり(工事監理)することを、段階ごとに説明します。

作品ページの型

作品のページは、写真を並べるだけでなく、次の順番で情報をそろえると、同じような条件の人が自分の場合に置き換えて読めるようになります。

  1. 代表の写真:その建物をいちばんよく表す1枚
  2. 条件:敷地の形や広さ、周りの環境、家族の構成や使い方、こだわりたかった点
  3. 考えたこと:条件から何を考え、なぜこの形や素材にしたか。2〜4段落の短い文章で
  4. 写真の続き:外観、内観、細部、時間帯や季節の違い。暮らしている様子が分かる写真
  5. 図面:簡単にした平面図など。公開してよい範囲で
  6. データ:所在地(市区町村まで)、用途、構造、規模、竣工の年、施工会社、写真の撮影者

所在地は、番地まで書かないのが一般的です。外観の写真と組み合わせると家が特定されることもあるので、どこまで載せるかは施主と相談して決めます。住宅の作品は、施主の了解を得たうえで載せ、了解の内容(家の中の写真を載せてよいか、施主の名前を出すか)を記録に残します。写真に写る人の同意の取り方は実績・事例ページの作り方でも説明しています。

建築写真の撮り方と著作権

いつ、誰が撮るか

建築写真は、竣工の直後、家具が入る前に撮ることが多い一方、暮らし始めてから撮ると、使われている様子が伝わります。代表的な作品は、プロのカメラマンに頼むと、光の入り方や空間の広がりを正確に残せます。撮影を頼むときの準備はプロのカメラマンに撮影を頼むときの準備にまとめています。

写真の著作権は撮影者にある

文化庁の著作権テキストでは、写真は著作物の例として挙げられています。撮影を頼んだ写真でも、著作者は原則として撮影した人です。そのため、撮影を頼む段階で次のことを取り決めておきます。

  • ホームページのほか、雑誌への掲載、コンペや賞への応募の資料、パンフレットに使えるか
  • 施主や施工会社に写真を渡し、それぞれが使ってよいか
  • 撮影者の名前をどこに書くか

施工会社が撮った写真を使わせてもらう場合も、同じように使える範囲を確かめます。

作品が少ないときの実績の載せ方

独立したばかりの事務所は、載せられる作品が少ないことがあります。数を多く見せようとして、関わっていない建物を自分の作品のように載せるのは避けます。代わりに、次のような載せ方があります。

  • 前の勤め先で担当した作品:前の勤め先の了解を得て、「〇〇設計事務所在籍時に担当」と担当の範囲を書く
  • 改修や小さな仕事:店舗の内装、住宅の一部の改修なども、考えたことを書けば立派な作品になる
  • 進行中の計画:施主の了解を得て、模型や図面で途中の段階を見せる
  • 設計の考え方の文章:素材や光、敷地の読み方についての考えを、ページとして書いておく

作品が増えたら、用途や構造で絞り込めるように作品の一覧を整えます。一覧のページは、写真の大きさと文字の量をそろえると、数が少なくても落ち着いて見えます。

設計監理料の説明

設計監理料は、建物の用途や規模、難しさで変わるため、金額を一律に書きにくいものです。それでも、何も書かないと「いくらかかるか分からない」という理由で問い合わせをためらわれます。次のことを書いておくと、相談の入口が広がります。

  • 算定の考え方(工事費に対する割合で考えるのか、かかる人の手間から積み上げるのか)
  • 住宅など、よくある用途での目安の幅
  • 支払いの時期(契約時、基本設計の完了時、実施設計の完了時、竣工時など)
  • 設計監理料に含まれないもの(地盤の調査、構造計算を外に頼む場合の費用、申請の手数料など)

国土交通省は、建築士事務所の開設者がその業務に関して請求できる報酬の基準を告示で示しています。2026年10月時点の国土交通省のページでは、2024年1月9日に公布された令和6年国土交通省告示第8号が現行の基準とされ、実費加算方法と略算方法の考え方が示されています。料金の説明に、この基準を参考にしていることを書く事務所もあります。

建築士事務所の登録の情報を載せる

建築士法では、建築士事務所の開設者は、事務所の公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならないとされています(第24条の5)。また、業務の実績などを記載した書類を事務所に備え置き、依頼者などに閲覧させることも義務付けられています(第24条の6、千葉県の案内による)。

これらは事務所での掲示と閲覧の定めですが、同じ情報をホームページの事務所の概要にも載せておくと、依頼を考えている人や協業の相手が確かめやすくなります。

  • 建築士事務所の登録の種類(一級・二級・木造)と登録番号
  • 開設者と管理建築士の氏名
  • 所在地と連絡先
  • 所属する団体

制作会社に伝えること

設計事務所のホームページを頼むときは、次のことを決めてから相談します。

  1. 最初に載せる作品と、それぞれの写真の使用の範囲(撮影者との取り決め)
  2. 作品ページに載せる条件と考えの文章(主宰者が書くか、聞き取って下書きしてもらうか)
  3. 設計の流れと、料金の説明の範囲
  4. 作品を増やすときに、誰がどう更新するか
  5. 写真を大きく見せたまま、表示が重くならないようにする方法

写真を主役にするサイトは、画像の書き出し方で表示の速さが大きく変わります。Lapisデザインラボのホームページ制作の内容は、サービスと料金に載せています。

よくある質問

設計事務所のホームページは、写真だけの作品集でもよいですか。

見た目の好みは伝わりますが、依頼を考えている人は「自分の条件でどう考えてくれるか」も知りたがっています。写真に加えて、敷地や家族などの条件、そこから何を考えて形を決めたかを短い文章で添えると、同じような条件の人が自分に置き換えて読めるようになります。

プロに撮ってもらった建築写真は、自由に使えますか。

写真の著作者は、原則として撮影した人です。ホームページ、雑誌への掲載、コンペの資料など、どこまで使えるのか、施主や施工会社に渡してよいのかを、撮影を頼む段階で取り決めておきます。施主の家の中の写真は、施主の了解を得た範囲で載せます。

設計監理料は、ホームページにどう書けばよいですか。

金額を一律に決めにくい場合は、算定の考え方と、目安の幅、支払いの時期を書きます。国土交通省は、建築士事務所の開設者が請求できる報酬の基準を告示(2024年1月9日公布の令和6年国土交通省告示第8号)で示しており、算定の考え方を説明するときの拠りどころになります。

参考にした資料

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