印刷物の校正のやり方|誤字・電話番号・日付の見落としを防ぐ
チラシやパンフレットを印刷してから、電話番号の一桁違いや古い日付に気づく——印刷物の校正では、こうした単純な見落としが起きることがあります。デザインの出来栄えに意識が向くと、文字や数字の確認が後回しになることもあり、刷り直しの費用や配布のやり直しという大きな手間につながります。
この記事では、印刷物の校正で見落としやすい箇所のチェックリスト、確認する人を分ける方法、効率よく進める手順、色校正との違いをまとめます。
校正で見落としやすい箇所
デザインの見た目を確認するときの目線と、文字や数字の誤りを探すときの目線は違います。次の項目は、特に見落としが起きやすい箇所です。
| 確認する項目 | 見落としやすい理由 |
|---|---|
| 電話番号・FAX番号 | 桁数が多く、一文字の違いに気づきにくい |
| 住所・地図 | 番地や建物名の表記ゆれ、地図上の位置のずれ |
| 日付・期間(キャンペーンの期限など) | 前回の原稿の日付が残ったまま更新されていないことがある |
| 価格・数量 | 税込・税抜の表記、単位(個・本・セットなど)の付け忘れ |
| 固有名詞(社名・商品名・人名) | 似た表記(ヴ・ブ、ー・-など)の統一漏れ |
| 二重価格表示 | 通常価格と割引価格を両方載せる場合の表示の仕方 |
| QRコード・URL | リンク先が正しいページに飛ぶか |
| 連絡先・URL の新旧 | 以前の原稿のまま更新されていない連絡先 |
このうち価格表示については、通常価格と比較する形の表示に関するルールがあるため、二重価格を載せる場合は内容に注意が必要です。詳しくは消費者庁の案内を確認してください(出典は本記事末尾)。
校正の進め方
校正は、次の順番で進めると抜けが減ります。
- 原稿と見比べる:依頼主から受け取った原稿(決定事項をまとめたもの)と、できあがったデザインを1項目ずつ照らし合わせる
- 声に出して読む:黙読だけでは読み飛ばしが起きやすいため、電話番号や日付は声に出して確認する
- 担当者以外にも見てもらう:デザインを作った本人や、内容をよく知る担当者だけで確認すると、思い込みで読み飛ばしてしまうことがある。別の立場の人にも見てもらう
- 印刷会社から戻った校正刷りを確認する:画面上の確認と、実際に印刷されたものの確認では、気づく誤りが違うことがある
- 修正箇所を再確認する:直したところが正しく直っているか、修正によって他の箇所がずれていないかを見る
確認する人を分ける
一人の担当者だけで何度も読み返すと、内容を覚えてしまい、誤りがあっても自然に読み飛ばしてしまうことがあります。次のように役割を分けると、見落としを減らせます。
| 役割 | やること |
|---|---|
| 作成者 | デザインと原稿を見比べ、最初の確認をする |
| 内容の責任者(上長・担当部署) | 価格・日付・キャンペーン内容など、事実関係に誤りがないか確認する |
| 第三者(別部署の人など) | 作成の経緯を知らない立場で、読んで違和感がないか確認する |
人数をかけられない場合は、日をまたいで確認する(一晩おいてから読み直す)だけでも、見え方が変わり、見落としに気づきやすくなります。
校正記号を使う・使わない場合の伝え方
修正の指示は、紙に印刷して赤字で書き込む方法と、PDFの注釈機能で書き込む方法があります。どちらの場合も、次の点を守ると、印刷会社や制作会社に正確に伝わります。
- 1箇所につき1つの修正指示:複数の修正を1つの吹き出しにまとめず、箇所ごとに分ける
- 削除・追加・差し替えを区別する:「消す」のか「足す」のか「別の文字に変える」のかを明確にする
- 数字・固有名詞は正しい表記をそのまま書く:「訂正」とだけ書くのではなく、正しい文字・数字を書き添える
- 修正の反映後に見る版を指定する:どの版に対する修正指示かが分かるよう、ファイル名や版数を書いておく
色校正との違い
文字や数字の誤りを確認する校正と、印刷したときの色の出方を確認する色校正(色校)は、別の工程です。文字の校正が終わった原稿で色校正に進むのが基本の順番です。画面の色と印刷の色は、仕組みが異なるため見え方が変わります。色の違いについてはRGBとCMYKの違いで詳しく説明しています。
入稿前の最終チェックリスト
- 電話番号・FAX番号を、実際にかけて(または発信せずに照合して)確認した
- 住所・地図の表記が最新かつ正確である
- 日付・期間が、今回のための内容に更新されている
- 価格・数量・単位の表記が統一されている
- 固有名詞の表記ゆれがない
- QRコード・URLのリンク先を実際に開いて確認した
- 作成者以外の人が最低1回は内容を確認した
- 印刷会社から戻った校正刷りを確認した
入稿する前のデータ全体の確認は、印刷の入稿データで失敗しないためにも合わせて確認しておくと、文字以外の見落とし(塗り足し・解像度など)も防げます。
校正にかかる時間の見積もり方
校正にかける時間は、原稿の分量と確認する人数によって変わります。印刷のスケジュールを組むときは、次の工程をあらかじめ見込んでおくと、入稿直前に慌てずに済みます。
| 工程 | 目安の考え方 |
|---|---|
| 1回目の確認(原稿との照合) | 文字量に応じて、落ち着いて読める時間を確保する |
| 修正の反映 | デザイン側で修正し、再度出力するまでの時間 |
| 2回目の確認(修正箇所の見直し) | 直した箇所だけでなく、その周囲も含めて見る |
| 印刷会社からの校正刷りの確認 | 郵送やデータでの受け渡しにかかる時間も含める |
キャンペーンの開始日など、配布日が決まっている印刷物では、この一連の工程を逆算して、原稿を確定させる締め切りを先に決めておくと、校正にかける時間を十分に取れます。
複数の原稿が混ざる場合の進め方
パンフレットやカタログのように、複数の担当者から原稿が集まる印刷物では、情報の出どころが分かれているぶん、校正の難易度が上がります。
- 原稿の最終版を一本化する:メールやチャットでのやり取りが残ったままだと、どれが最新か分からなくなります。確定した原稿は一つのファイルにまとめます
- 担当者ごとに確認範囲を分ける:全体を一人で見るのではなく、自分が提供した情報の部分は、提供した本人が責任を持って確認する体制にします
- 変更履歴を残す:どこを、いつ、誰が直したかが分かるようにしておくと、後から確認が必要になったときに迷いません
まとめ
- 校正で見落としやすいのは電話番号・日付・価格・固有名詞・リンク先
- 原稿との照合、声に出して読む、担当者以外が見る、の3つを組み合わせる
- 修正指示は1箇所1指示で、正しい表記を書き添える
- 文字の校正と色校正は別の工程。文字の校正を終えてから色校正に進む
Lapisデザインラボでは、印刷会社に入稿できるデータをお渡しし、印刷もオプションの「印刷の手配」で承っています。内容はサービスと料金をご覧ください。
よくある質問
校正は何回くらい行えばよいですか。
最低でも2回(原稿と見比べる1回目、印刷会社から戻った校正刷りを見る2回目)は行います。修正を入れた箇所は、直っているか・他の箇所に影響が出ていないかを、修正のたびに見直します。
一人で確認するのと、複数人で確認するのでは何が違いますか。
同じ人が繰り返し読むと、内容を覚えてしまい、誤りがあっても自然に読み飛ばしてしまうことがあります。担当者以外のもう一人が見る、声に出して読み上げながら確認するなど、視点を変える工夫で見落としを減らせます。
校正と色校正(色校)は何が違いますか。
校正は文字や数字、レイアウトの誤りを確認する作業です。色校正は、実際に印刷したときの色の出方を確認する作業で、別の工程です。文字の校正が終わった原稿で色校正に進みます。